2014年2月17日月曜日

火鉢の物語,アジア座

火鉢の物語,アジア座



火鉢の物語

小雪の家は徳島の貧しい農家、口減らしのために家を追い出され、広島、大阪、京都、金沢と流れついてき
た。最後に腰を落ち着けたのが金沢の西茶屋街に近い赤線地帯、火鉢がよく似あう町、石坂。昭和3年の出来事である。そこにあるひからびた旅館に住み込みの
女中で働きはじめた。その旅館には客の待ち受け部屋があり、手炙り用の火鉢が置いてあった、特に好きだったのが火鉢の手入れである。朝起きると昨夜燃やし
た炭の灰がてんこ盛りになっている、それを平に整えて五得を磨き、欅の表面を乾いた布で綺麗に拭き艶を出す、灰にまみれた火鉢が生まれ変わったように輝き
を増す、小雪は思った、自分の人生もこの火鉢のように輝いていたいと、、、。まじめに働いたので旅館の女将にいたく気に入られた、ある日女将が言った『小
雪や〜、おまえさん別嬪だし女郎になって金を稼ぐ気はないかいね〜』小雪は女将を睨みつけて静かに言った『おかみさん、私には惚れた人がいるんですよ、そ
の人長町に住んでるんです。その人にあたしの操を捧げるつもりなんや、、、』小雪は処女だった。


小雪が愛した男は日本帝国海軍の少尉で28才の若者、将校専用の長町の瀟洒な一軒家に住んでいたが、彼には妻がおり、生まれて間もない男の子がいた。小雪
と彼との出会いはひょんなきっかけからだった、彼女がいつものように玄関の掃除をして、水まきをしているとき後ろから来た彼に気づかず純白の七つボタンの
海軍将校の制服を汚してしまったのだ、バケツに入っていた水はむかいの用水からくみ上げてきた汚れた水だった。『あ〜すんません、旦那さん』小雪が見上げ
るとそこには威風堂々とした軍人さんがいた。心臓の鼓動が胸を突き破らんがごとく高鳴った、小雪は彼に一目惚れしてしまった、はじめての経験だった。『お
嬢さん、大丈夫だよ、洗濯すれば汚れはすぐに取れるから』彼はやさしく声をかけた。そして彼は足早にその場を去っていった。(物語は続く、、、)

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2014年2月7日金曜日

火鉢の物語







昨日の出来事である、部屋を暗くして火鉢の柔らかな炎で好きな女を口説こうとした。

音楽がなかったのが失敗だったか、、、。